壊れるほど君を愛してる
エピローグ
「二人供、早く起きなさい!」
莉奈が大声でそう言うと、二人の子供が部屋から出てきた。
結婚式を行った年の十月に双子の男女が生まれた。
男の子には俺の名前を取って“翔生(しょうき)”で、女の子は莉奈の名前を取って“生奈(せいな)”だ。
二人は男と女なのにとても似ていて可愛く見える。
莉奈がテーブルに朝食を置くと、二人は急いで食べている。そんな姿も可愛らしい。
「お父さん、生奈ね、卓球でいいサーブが出せるようになったんだよ!」
「俺だって、サッカーでたくさんシュートしてるもん!」
俺は朝からそんな二人の自慢を聞かされて笑っていた。
「早く準備しなさい!」
「はーい」
莉奈の言葉に口を揃えて返事する二人も好きだな。
そう思っていると、二人は急いで玄関に行った。
「お父さん、お母さん、行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
二人で仲良く出て行くところを遠くから眺めた後、俺は鞄を持った。
「もう行くの?」
莉奈が聞いて俺は頷いた。
俺は近くの大手の会社に勤めている。堅苦しいスーツを着るのはあまり慣れていないけど。
莉奈は密かに小説家をしている。あの作品の続編である『壊れるほど君を愛してる』は大ヒット作品として名を轟かせた。
「じゃあ、莉奈」
俺はエプロンを着た莉奈の顎を上げて唇を重ねた。子供達が居ない時だけやっている。
「莉奈、行ってきます」
「行ってらっしゃい、翔」
俺は妻に手を振って、会社に向かった。
こんな平凡な毎日が大好きだ。幸せって不思議なものだと思った。
今日も明日もどれだけ辛くても、家族が居れば幸せになれる。
結婚しても想いは変わらない。
壊れるほど君を愛してる……。
☆END☆