壊れるほど君を愛してる


俺は家に着いて、自分の部屋へ入って行く。


親は仕事で忙しいので、いつも俺は一人なのだ。一人だからといっても、寂しいわけでもない。


宿題をしようか悩んだが、俺はあの本を開いた。



*****



今日は友達に誘われて一緒に遊ぶこともなっている。私は自転車を漕いで友達の家へ向かっていた。


私は友達から連絡が来たので立ち止まると、視線を感じて振り返った。すると、そこには彼が自転車で走っていたのだ。


私は友達からの連絡を無視して、自転車を漕いだ。彼に顔を覚えられるなんて真っ平ご免である。


彼に顔を覚えられていないか心配だった。彼に勘違いされるのは絶対に嫌である。


どうすればいいのだろうか。彼に会ったら笑われてしまうのだろうか。


不安が取り除けず、友達との遊びも全然楽しく思えなかった。



*****



お腹が空いたので、コンビニに行くことにした。家の目の前にコンビニがあるので、いつもそこで弁当を買って済ましている。


今日はかつ丼を買った。目の前にあったから何気なく手に取っただけだ。


俺は金を払い、外に出た。駐車場に並べられた車には雪がたくさん積もっていた。


「翔!」


そう呼ばれて俺は振り返った。そこには見覚えのあるメガネを掛けた男が立っていた。


「久しぶり、覚えてないだろうけど……」


男は切なそうな顔をして言った。


「俺は富山光一(とみやまこういち)、中学の時に同じサッカー部だったんだ。ちょっと、話そうか」


光一を俺の家に入れた。俺の記憶が蘇るかもしれないという期待を持って。


「あの、どうして俺が記憶を失ったか知ってる?」


俺は光一に聞いてみた。


「俺、どうしてお前が記憶を失ったのかは知らない。ただ、引っ掛かることがあったんだ」


「引っ掛かること……」


「後輩の女子が飛び降りたということ。でも、お前とはあまり深くは関わっていないだろうし、お前はそいつのことを嫌っていたから関係ないと思ったんだ」


光一は遠い目で話していた。すると、光一は話を変えてきた。


「俺は私立の松島に行ったんだ。同じ中学校の友人達がお前と久しぶりに話したいと言っている。でも、お前は西宮高校に行ったから会えないだろうし、記憶も無いからなって……」


昔の俺はたくさんの人に慕われていたのかと思う。体育祭の時もたくさんの人に囲まれた記憶がある。


「お前、最近ハマっていることはなんだ?」


光一はそんなことを聞いてきた。


「読書かな。この作品がすごいらしいんだ」


あの本を光一に渡すと、ペラペラとページを捲って目を見開いた。


「えっ……お前、この話読んで何も思わねぇの?」


「いや、最後まで行ってないし」


「ふーん、そっか。俺はオススメしないけどな」


そう言って光一は立ち上がった。


「俺は帰るよ。じゃあな、今度遊ぼうな」


「うん、じゃあね」


俺は、光一の言葉を忘れることは出来なかった。


後輩の女子と俺は何かあったのだろうか。


どうして俺は、記憶を忘れてしまったのだろうか。


俺は目の前の本をただ見つめた。



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