幽霊の君と僕
そんななか、突然アクセルの音が響いた。
ブオオオオオン
さっきまで駐車していたはずの車が
僕らめがけて突っ込んできたようだった。

_一瞬で赤に染まる、僕の幸せ_




思い出した。そうだ。
僕らは車にぶつけられたんだ。
そう気づいた瞬間、背筋が凍った。

「彼女が、いない。」

僕は点滴をひきちぎり、走り出した。
足がうまく動かない。骨折しているのか?
なんだか頭が痛い。殴られてるみたいだ。
気持ち悪さも増してきた。吐きそうだ。

途中看護師さんであろう叫び声が聞こえたが
僕は無視して走り続けた。
走ったといっても恐らく子供の全力疾走より
遅かったのだろう。看護師さんにすぐ捕まった。

「なにしてるの!!はやく病室にもどりなさい!!」

「ヒナ...小日向陽菜乃、知りませんか!?」

僕は懸命に訴えた。恐らく看護師さんも気づいて
いたのだろう。すぐに案内してくれた。

「...会ったらすぐにもどるように。それと、
松葉杖を使いなさい。無理もしないように。」

そう言うと僕の病室から松葉杖を持ってきた。
なんだ、あったのか。
僕はすこし驚いて、素直に受け取った。
僕の目を見た瞬間すこしだけ、看護師さんの
目が潤んだようなきがした。
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