幽霊の君と僕
案内された病室にいくと、見知った顔の人がいた。
ヒナの母親だ。
僕の顔を見ると、驚いた顔をしたあと一瞬怒ったようだった。でもすぐにその顔は泣き顔に変わった。

そんなヒナの母親の姿を横目に、僕は
ヒナのいる病室へと入った。

_目を、見張った。
ヒナはとても綺麗だった。
傷はあちこちにあるけれど、眠り姫のようだった。
まるで、このまま一生覚めない眠りについているような...
しばらく目を離せなかった。

そして、ヒナには点滴もなにもついていないことに
気がついた。そこで、全てわかった。
看護師さんの態度、おばさんの顔、なにより
綺麗すぎるヒナ...

そっと、ヒナの手に触れてみる。
冷たい。普段のヒナからは想像もつかないほど
冷たかった。
後ろでおばさんが泣いている。
ヒナ、ヒナと何回も名前を呼んで。
だけど、ヒナはぴくりともしない。動かない。

僕は、ヒナから離れておばさんのもとへ歩を
すすめた。
おばさんはしばらく泣いていたが、僕を見ると
だいじょぶ、あなたのせいじゃないわ。
不幸な事故だったの。だいじょぶ、だいじょぶと
何度も何度も言った。
まるで、自分にそう言い聞かせるかのように...
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