極上御曹司に求愛されています
「芹花さん、足首が細いからぴったりすぎる。これね、通りの向かいで店をやってる靴職人さんが作ったのよ。ひと目で気に入って即買い。そのあとで靴に合うこのドレスを作ったの。だからね、できればドレスと靴はセットで譲りたいんだけどな」
恵奈は芹花の足元に膝をつき、何度も「手離すのが寂しいけど、芹花さんのための靴みたいだから諦めるか」と繰り返す。
芹花は悠生と顔を見合わせた。
ついさっきその温かさを知った唇が、ヒールのおかげで目の前にある。
芹花は体が熱くなり、視線を泳がせた。
どうしてこんな展開になったんだろう。
芹花は熱を帯びた頬を両手で抑え、落ち着こうとする。
視線を動かせば、今も芹花の腰に手を回したままの悠生の端正な顔。
視線が合えば、安心させるように笑ってくれる。
「ドレスも靴も、買わせてもらうよ」
当然だとばかりに悠生は頷く。
「あ、代金は私が」
慌てた芹花の言葉は悠生だけでなく恵奈にも聞き流された。