極上御曹司に求愛されています
「まあ、慧太先生だけじゃないわよね。どの世界でも、御曹司なら味わうマスコミの面倒くささだろうし」
そう言って、可織はココアを飲み干すと、立ち上がり体を伸ばした。
「私も事務所の発展のために頑張るか。とりあえず、来週の裁判資料の整理だな」
部屋を出ていく可織の背中を見ながら、芹花は「御曹司……」と呟いた。
「悠生さんと慧太先生って似てるかも。なんといってもイケメンの御曹司」
芹花はここ最近その言葉に右往左往させられているような気がした。
今も思い出しただけでトクトクと鼓動が大きな音をたてる。
おまけに体も熱い。
「一番熱いのは、ここだ」
芹花は指先で唇に触れた。
どう触れれば悠生の唇を思い出せるだろうかと目を閉じるが、頭に浮かぶのは、芹花をまっすぐ見つめる悠生の強い視線だった。