極上御曹司に求愛されています
「木島さんとは、年も近いから、今回みたいに一緒に雑誌に取り上げられることもあるんだよな。何度か彼の記事を読んだけど、予想以上に仕事熱心で優秀だな。見た目もいいし、オトコの俺が見ても惚れ惚れしたよ。で、実物もかなりいいオトコなのか?」
「はい。とても、格好よくて素敵な人です。あ、あの、慧太先生も格好いいですよ」
素直に悠生のことを答えた後、慌てて言葉を付け足した芹花に、彗太はくくっと笑った。
「そんなに気を使わなくていいよ。だけど、たしかにいいオトコだと思う。彼に相続の相談にのってもらった知り合いがいるけど、彼の人柄に惚れて財産管理のほとんどを委託したらしい」
「そうなんですか」
悠生のことを誉められ、芹花は自分のことのように嬉しくなる。
慧太だけでなく、悠生の記事も掲載されるという新聞の発売が楽しみになったが、一方では、悠生は生まれも仕事ぶりも自分とはまるで違う場所にいることを改めて実感した。
キスを交わしたとはいっても、それはその場の雰囲気に流されただけだろうし、悠生との間に何かが生まれたわけではない。
芹花がスマホの弁償を拒んだことに気を使い、恋人の振りをして写真を撮ってくれる優しい人。それだけだ。
芹花は勘違いしそうになっていた自分を戒めるように、心でそう繰り返した。
その後終業時間となり、一日中悠生に気持ちを振り回されていた芹花は早々に仕事を終えた。