極上御曹司に求愛されています
「ふーん。それは残念だな」
芹花の言葉に軽い口調で答えた悠生は、拒否されたことを気にすることもない。
「とりあえず、料理を食べようか。芹花はおいしい物を食べればそれで幸せだもんな」
「私、そんな単純じゃありません」
悠生にからかわれ、ムッとしたその時、おいしそうな匂いがした。
「フカヒレのスープでございます」
芹花の目の前に湯気が立ったスープが置かれた。
湯気と共においしそうな匂いが芹花を刺激する。
「え、食べていいんですか?」
そう言いながらも、芹花は手元に並んでいるスプーンを早速手に取った。
同じテーブルのカップルたちも、順にスープを口にしている。
昼食以来何も口にしていない芹花は、この場に居心地の悪さを感じながらも食欲には勝てない。
「いただきます」
アマザンで有名なスープを、ワクワクしながら口にした。
おいしいスープを目を閉じ堪能すれば、何故ここに連れて来られたのかという疑問はひとまず後回しだ。
この間悠生に連れられて行った料亭の時と同様、料理が目の前にあれば、まずはおいしくいただこうと思ってしまう。
「メインは肉料理らしいぞ。楽しみだな」
椅子に背を預け、悠生がメニューに視線を落としている。