極上御曹司に求愛されています
芹花の言葉に悠生は気を悪くした様子もなく、それどころか嬉しそうに笑い声を上げた。
「いじめっ子の本音は、昔から決まってるんだよな」
「……は?」
「まあ、それは少しずつ小出しにして焦らすつもりだけど。とりあえず、連写でいくか」
悠生の呟きと同時に、スマホからシャッター音が続いた。
連写で写真を撮られ、芹花はどうしていいのかわからないまま、ひたすらスマホを見つめた。
泣きそうになりながら唇をかみしめるその表情をチラリと見た悠生は、くくっと肩を震わせた。
そして、スマホの画面を操作し、今撮ったばかりに写真を確認する。
「泣きたくなるほど俺の隣にいるのが嬉しそうだな」
「は?」
「ほら、見てみろよ」
芹花がスマホを覗き込めば、迷いのない笑顔の悠生に抱き寄せられ、照れたように顔を赤くした芹花が写っていた。
決して嫌がる様子はなく、悠生の側にいることに満足しているように見えた。
「これが私……」
予想もしていなかった自分の幸せそうな姿。
芹花はまじまじと画面に見入った。
悠生と頬を合わせ、自分からもすりすりと体を寄せているようにも見える。
まるで何年も愛し合っている恋人同士のような空気感。
「やだ」
芹花は両手で顔をおおい、心で何度も「なんなのもう、どういうこと?」と繰り返す。
まさか悠生と並んで自分がこんな表情を見せるなんて思わなかった。
これではまるで悠生の恋人のようではないかと、恥ずかしくて照れくさくて息苦しい。
「結婚式の前に友達にこの写真を送って、とっくに極上の恋人がいるんだって自慢しておけば?」
「……え?」
なかなかいい考えだろうと、ニヤリと笑う悠生に、芹花は言葉を失った。