極上御曹司に求愛されています

『そう。芹花にとってはようやくできた初めての恋人で、たまにこっちに帰ってきたときに恥ずかしそうに話す姿はとてもかわいらしくて。地元を離れても寂しくないんだなってみんな安心して応援もしてたのに。礼美がわざわざ芹花の恋人に会いに行って奪うなんて信じられない。社長令嬢なら何をしても許されるのか?ってね。みんなっていうより、私が一番怒ってるんだけど』
「綾子がそこまで怒らなくてもいいよ」

 同級生たちが受付を引き受けないという理由に芹花は驚いた。

『あ、芹花が気にする必要はないからね。まずは芹花のことが好きってのが一番だけど、これまで我慢してきたあれやこれやが今爆発してるってのもあるし。結局は芹花が幸せになれればそれでいいの』
「えっと……、ありがとう。でも、私のことで無理なんてしなくていいから」
『無理じゃない。私もそうだけど、みんな今回の礼美の結婚には怒ってるのよ。芹花の初めての恋人を奪って悲しませて。そんなこと関係ないですみたいに豪華なホテルで結婚式なんて許せない。お色直しなんて五回もするんだよ。目立つのが好きな彼女らしいわよ。それに主賓は現職の国会議員って、どういうこと? 素直におめでとうって言えるわけないし』

綾子が感情を爆発させることには慣れているが、今回はかなり激しい。
芹花は自分のことにそこまでむきになる綾子や同級生たちに後ろめたさも覚える。
付き合っていた当時の芹花の修への愛情に嘘はないが、これほど気を使ってもらうほど修を本気で好きだったのかは疑問なのだ。

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