極上御曹司に求愛されています
『そっか、恋人かあ。え? どんな人なの? もちろん礼美の誘惑に負けてしまった馬鹿野郎よりも格好いいオトコよね』
「ば、ばかやろうって、修くんのこと……?」
さっきまでとは違う意味で興奮している綾子の言葉に、芹花は呆然とした。
綾子を落ち着かせようと気軽に口にした言葉が、思わぬ意味を持たせたようだ。
「あの、綾子違うし」
『ねえねえ、仕事はなにをしてる人なの? 都会で働いてる人だったらかなり稼いでるんでしょう?』
「綾子、落ち着いて聞いて」
芹花に恋人ができたと思い込んだ綾子は、それがよっぽど嬉しいのか芹花の言葉を聞くことなくひとりであれこれ呟いている。
『だったら早く紹介しなさいよ。芹花のことだから照れて言い出せずにいたんだろうけど』
「だから、綾子……」
なにを言っても今は聞いてくれそうもないと諦めた芹花は、スマホをスピーカーモードに切り替え、ローテーブルの上に置いた。
自分の世界に入ったときの綾子を止めることはできないのだ。
今夜は長い夜になるかもしれないなと肩を落とした。
『でもよかった。礼美のことに腹を立ててる同級生は多いから、受付を引き受けないどころかみんなで披露宴を欠席しようかって話も出てたのよ』
「は? 欠席? なんで」
綾子の言葉に、芹花は、ソファにもたれていた体を慌てて起こした。