俺様上司の甘い口づけ
もうすでに定時は過ぎていて
これからまた忙しい仕事が始まるのだと思うと
少しのワクワクと少しの倦怠感が押し寄せた
『……ん』
その言葉とともにアイスコーヒーが
パソコンの横に置かれた
要るか要らないかも聞かず置くところが
成瀬さんらしく心地よい。
「ありがとうございます」
会社員は嫌とか嫌じゃないとか
自分の好みなど押し殺していくものだと学んだ
『初日から遅くまで悪いな』
「いえ、私も早くできることは済ませないので」
まぁ半分あなたのせいですけれども。
上司にそんな口は聞けない。
『そうか。そう言ってもらえると助かる』
山積みになった資料を見つめながらそう話した。