俺様上司の甘い口づけ
「もう本当に怖かったです」
『悪かったって』
「成瀬さんのバカ」
『お前、上司に向かってよくそんな口聞けるな
俺のせいだからってなんでも許されると思うな』
「すみません」
流石に言いすぎたかと後のことも考え謝った
毎日のような残業に熊本出張、今日のお鍋といい
初対面と比べてだいぶ仲は縮まった。
だけど、仲も何も私たち一回身体を合わせたんだよね。
あれから一ヶ月がたった今、
まるでなかったことになっている
私が恋に落ちたあの日から
何にも進展していない。
それがとても寂しい。
沈黙が続く帰り道。
厳しくて当たりが強い冷たい上司の
知ってしまった優しい顔。
もう一度優しいあなたに愛されたい
でもそれは、身体を重ねたいってこと。
こんなこと思ってしまう自分は尻軽なのだろうか。