ダメ女
淀み
梅雨は、嫌いだ。
僕は、麦茶を飲んで野球ゲームをしていた。
明美がいなくなって一週間同じ事の繰り返しである。
警察に行くと明美は逃げて来たと聞いた。
僕からか…。
2回目の失踪ーシェルター。
もういい加減、飽きていた。
ピンチになると逃げる。
そんな女はこっちから願い下げだ。
僕は、ある支援者を頼った。
その人が今日来る。内心は明美に戻って来てもらいたい気持ちが捨てきれないがもう限界だ。
インターホンが鳴った。
さぁ、新しい未来だ。
扉を開けるとスーツ姿の紳士が立っていた。
「こんにちは、加藤健太さんのご自宅でよろしいでしょうか?」
「はい。そうです。」
紳士は、段ボールの多さを少し気にしている様子だった。
1LDKの狭い部屋だ。明美は全て置いて行った。
「○○会集からご紹介頂きました、佐田弘です。よろしくお願いします。」
僕は、今の状況を説明した。久しぶりに人と話している。
「そうですか、大変でしたね。」
と佐田さんは慈悲深い顔をして言った。
「この本から勉強していくのが良いですね。」
佐田さんは、優しく丁寧に教えてくれた。
「この、目次の中でどれを学びたいと思いますか?」
{家族とは?}
という目次を見て僕は、そこを指さした。
「そうですか、加藤さんは、家族とはどういう存在だと思いますか?」
「うーん、難しい質問ですね。親も妻もいないようなものなので…。」
佐田さんは、そうですかと頷いた。
「次回までに、資料を集めておきます。あ、後、これ梨なんですけど良かったら食べて下さい。」
ニコニコ笑顔で佐田さんは帰った。
佐多さんが置いていった本と梨を見つめて僕は、本を読みながら梨を食べた。
佐多さんは、週一のペースで訪ねてくれた。
一番最初に、就職した時に同僚だった友達を頼ったりしたが、ただの気休めにしかならない仏教だった。
祖母とはあまり関わらないようにしていた。
認知症が進んでいた。
自分が、信仰している宗教を押し付けてきたりした。
一番問題なのは明美がいない孤独感だった。
辛いし寂しいしで隣の美容師さんに話を聞いてもらったりした。
孤独を埋めるピースが欲しかった。
夏になると就活した。
しかし、すぐに辞めた。
熱かったからだろう。
明美がいなくなって半年が経過した時に明美の父親に手紙を送った。
{明美さんは、いなくなりました。}
それだけ送った。
特に理由はない。辛い痛い気持ちを分散させたかったのだろう。
理由もなく泣いた。
二人の契約書や交換日記を読んでは泣いた。
明美が、確かに僕を好きでいてくれた奇跡に感謝し消えてなくなった事に涙した。
佐多さんに話して気を紛らわせていた。
夏はあっという間に過ぎて寒くてなってきた。
明美が、消えたすぐ後に○○と映画館に映画を観に行った。
会話もなく…ただ、○○に明美が年賀状を書いていた時に僕も○○に伝えたい意地悪な言葉を書いた。
○○は、それだけが気になっている様子だった。
{人のものを取らないように。}
と書いた。
○○は、それを親に見られて気まずくなったようだ。
「仕方ないだろ、事実だし。」
と僕は、言った。
寒い季節になり、僕は、祖母にある一人の70代近い知り合いを紹介された。
うさんくさい人間だった。
何回か会ったが亡くなった旦那と宝塚の話しかしない人だった。
祖母は、その人に僕の就職をお願いしていたがその人はただ単に僕を利用していたのだ。
僕は、静かに一ヶ月分の薬を病院で処方してもらって全て飲んだ。
OD(オーバードラッグ)をして二日間目を覚ます事はなかった。
アパートの扉を叩く音が聞こえて目を覚ました。
喉がカラカラした。
祖母に起こされて僕は、死ねなかった…。
僕は、麦茶を飲んで野球ゲームをしていた。
明美がいなくなって一週間同じ事の繰り返しである。
警察に行くと明美は逃げて来たと聞いた。
僕からか…。
2回目の失踪ーシェルター。
もういい加減、飽きていた。
ピンチになると逃げる。
そんな女はこっちから願い下げだ。
僕は、ある支援者を頼った。
その人が今日来る。内心は明美に戻って来てもらいたい気持ちが捨てきれないがもう限界だ。
インターホンが鳴った。
さぁ、新しい未来だ。
扉を開けるとスーツ姿の紳士が立っていた。
「こんにちは、加藤健太さんのご自宅でよろしいでしょうか?」
「はい。そうです。」
紳士は、段ボールの多さを少し気にしている様子だった。
1LDKの狭い部屋だ。明美は全て置いて行った。
「○○会集からご紹介頂きました、佐田弘です。よろしくお願いします。」
僕は、今の状況を説明した。久しぶりに人と話している。
「そうですか、大変でしたね。」
と佐田さんは慈悲深い顔をして言った。
「この本から勉強していくのが良いですね。」
佐田さんは、優しく丁寧に教えてくれた。
「この、目次の中でどれを学びたいと思いますか?」
{家族とは?}
という目次を見て僕は、そこを指さした。
「そうですか、加藤さんは、家族とはどういう存在だと思いますか?」
「うーん、難しい質問ですね。親も妻もいないようなものなので…。」
佐田さんは、そうですかと頷いた。
「次回までに、資料を集めておきます。あ、後、これ梨なんですけど良かったら食べて下さい。」
ニコニコ笑顔で佐田さんは帰った。
佐多さんが置いていった本と梨を見つめて僕は、本を読みながら梨を食べた。
佐多さんは、週一のペースで訪ねてくれた。
一番最初に、就職した時に同僚だった友達を頼ったりしたが、ただの気休めにしかならない仏教だった。
祖母とはあまり関わらないようにしていた。
認知症が進んでいた。
自分が、信仰している宗教を押し付けてきたりした。
一番問題なのは明美がいない孤独感だった。
辛いし寂しいしで隣の美容師さんに話を聞いてもらったりした。
孤独を埋めるピースが欲しかった。
夏になると就活した。
しかし、すぐに辞めた。
熱かったからだろう。
明美がいなくなって半年が経過した時に明美の父親に手紙を送った。
{明美さんは、いなくなりました。}
それだけ送った。
特に理由はない。辛い痛い気持ちを分散させたかったのだろう。
理由もなく泣いた。
二人の契約書や交換日記を読んでは泣いた。
明美が、確かに僕を好きでいてくれた奇跡に感謝し消えてなくなった事に涙した。
佐多さんに話して気を紛らわせていた。
夏はあっという間に過ぎて寒くてなってきた。
明美が、消えたすぐ後に○○と映画館に映画を観に行った。
会話もなく…ただ、○○に明美が年賀状を書いていた時に僕も○○に伝えたい意地悪な言葉を書いた。
○○は、それだけが気になっている様子だった。
{人のものを取らないように。}
と書いた。
○○は、それを親に見られて気まずくなったようだ。
「仕方ないだろ、事実だし。」
と僕は、言った。
寒い季節になり、僕は、祖母にある一人の70代近い知り合いを紹介された。
うさんくさい人間だった。
何回か会ったが亡くなった旦那と宝塚の話しかしない人だった。
祖母は、その人に僕の就職をお願いしていたがその人はただ単に僕を利用していたのだ。
僕は、静かに一ヶ月分の薬を病院で処方してもらって全て飲んだ。
OD(オーバードラッグ)をして二日間目を覚ます事はなかった。
アパートの扉を叩く音が聞こえて目を覚ました。
喉がカラカラした。
祖母に起こされて僕は、死ねなかった…。