『The story of……』
「愛都のこと、大好きだよ……」
綺麗な笑顔で言い放った匠巳は、口を開けて立ち尽くす彼女たちの間を颯爽と抜け、
「愛都っ」
入り口に隠れていたわたしに真っ直ぐ向かってきて、そのまま勢い良く飛びついてきた。
「ちょ、ちょっと匠巳!」
慌てふためくわたしを両腕に閉じ込め、突き刺さるような数々の視線を物ともせず、
「愛都は?」
綺麗な二重をキラキラさせながら、暢気にわたしの答えを求めてくるどうしようもない奴……。
(そんな嬉しそうな瞳で見つめられたら……)
「……大好きだよっ」
今まで抑えていた匠巳への気持ちが、一気にわたしの中から溢れ出す。
それを伝えたら、今までで一番綺麗で可愛い笑顔が、わたしの頬を愛しげに頬ずりする。
この公開告白が噂になって、匠巳の今までの噂を消してくれるなら……いくらだって噂になっていい。
そう思いながら、わたしは匠巳の背中へ腕を回すのだった。
-匠巳編END-