『The story of……』
自分につきまとってしまう肩書き。
それを通して見られてしまう自分という存在に、八木くんはどこか諦めみたいたなものを感じていたのではないか……。
(大丈夫……。八木くんは八木くんのままで良いんだよ)
「愛都」
「えっ……」
不意に呼ばれた名前で、思わず目をまるくして八木くんの顔を見つめる。
「また、一緒に来てくれるか?」
「……わたしでいいの?」
いつもよりずっと優しい口調。
恐る恐る問い返したわたしに、
「おまえじゃないと、ダメだ」
囁いた八木くんは、柔らかくわたしに微笑んだ。