『The story of……』
(だったら有り難く戴こうっ)
安心して再びフォークを口に運んだ。
その辺に売ってるケーキよりも美味しいそれに舌鼓を打っていたわたしは、
「わたしの名前出したって……どんな風に?」
新たな疑問に小さく首を傾げた。
答えを求めるように透未に顔を向ければ、
「……クリーム付いてるぞ」
「えっ? ……っ!」
口元に付いたクリームと一緒に、半開きだった唇をペロリと舐められてしまった……。
驚きと恥ずかしさで呆然としたわたしに、
「……俺の大切な人、って」
「透未……」
低い声で囁いた透未の顔が、ゆっくりと近付いてくる。
「愛都は?」
唇が触れそうな距離で尋ねる透未。
こう答えればきっと、この唇はわたしに触れるんだろう……。
「もちろん……透未が大切だよっ」
-透未編END-