『The story of……』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


あれからずっと考えてしまうことがある。



わたしはあの時、聡利くんになんて言葉をかけてあげれば良かったんだろうか。



なんて言えば、聡利くんは笑ってくれたんだろうか……。




答えの出ない問い掛けをひたすら頭の中で反芻させていた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


今日は朝から毎月定例の貧血な日。


体も気分も重いそんな日に限って、明日は実力テストが控えてる。



通学用のカバンを肩に掛け、向かったのは図書室の奥にある自習スペース。



テスト前だけあっていつもより人気の多いそこで、



「あっ……」


「……どうも」



ノートにかじりつく見覚えのある顔の前で、思わず足を止めてしまった。



「ここ良い?」




頷いてくれた聡利くんに小さく礼を告げ、そのまま何となく向かいに腰を下ろしてしまう。




再び教科書に視線を戻した聡利くんを、ノートの隙間から覗き見た。




(……やっぱり座らない方が良かったかな)
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