『The story of……』
~エピローグ~
実力テストも終わり、春の陽気から夏の日差しに移り変わりつつある今日この頃……。
とある約束の為に向かった放課後の旧館の空き教室で、
「最近聡利のヤツがふわふわソワソワしてると思ったら」
「いつの間にかこんな可愛らしい彼女を作ってたのね……わたしたちに隠れて良い度胸だわぁ」
何故か目をランランと輝かせた次女と、にこやかに微笑む長女に囲まれてしまった。
「別にわたしは、彼女とかじゃないんです」
確かに、聡利くんとの距離がぐっと縮まった感はある。
最近はよく笑ってくれるし、普通にお喋りもしてくれる。
(それが嬉しくてついつい聡利くんに会いに行っちゃうんだけど……)
でも、特別な関係とかそんなのではない。
多分、わたしの片想いだし……。
「わたしなんて年上の癖に頼りないし」
自嘲気味に笑ってみせたわたしに、遠野さん姉妹が顔を見合わせ首を傾げている。
「もしかして……まだ聡利に言われてないの?」
「えっ?」
「だから、聡利が上総さんを……」