『The story of……』
遠野さんたちから遅れて数十秒後。
すっかり静まり返った玄関を後にしたわたしは、思わぬ場面に出会した。
「使用申請が出てない」
風紀の腕章を二の腕に留めた男の子が、腕組みをしてバドミントンのラケットを握った女の子二人を見据えている。
多分、彼女たちが持ってるのは授業で使う為のラケット。
こうして勝手に持ち出して遊ぶ生徒が割と居る。
確か彼は、風紀委員長の福士 瑠戌(フクシ ルイ)くん。
風紀委員長だけあってか、自分にも他人にも厳しいことで有名だ。
「ちょっと借りただけじゃんっ」
「そうよっ。それに、ちゃんと返しに来たんだし。良いじゃないっ」
自分たちの非を認めようとしない女の子たちに、
「だからって決まりを無視して良いのか?」
容赦なく言い放つ言葉は、トゲがあるかのように鋭い。
これには女の子たちも、溜まらず押し黙るばかり。
「自分たちが勝手をおかして開き直る。挙げ句黙りか。子どもと同じだな」
鼻で笑う福士くんに、彼女たちの目が若干潤み始める。
あまり芳しくないこの状況を、あっさり覆す救世主が現れた。
すっかり静まり返った玄関を後にしたわたしは、思わぬ場面に出会した。
「使用申請が出てない」
風紀の腕章を二の腕に留めた男の子が、腕組みをしてバドミントンのラケットを握った女の子二人を見据えている。
多分、彼女たちが持ってるのは授業で使う為のラケット。
こうして勝手に持ち出して遊ぶ生徒が割と居る。
確か彼は、風紀委員長の福士 瑠戌(フクシ ルイ)くん。
風紀委員長だけあってか、自分にも他人にも厳しいことで有名だ。
「ちょっと借りただけじゃんっ」
「そうよっ。それに、ちゃんと返しに来たんだし。良いじゃないっ」
自分たちの非を認めようとしない女の子たちに、
「だからって決まりを無視して良いのか?」
容赦なく言い放つ言葉は、トゲがあるかのように鋭い。
これには女の子たちも、溜まらず押し黙るばかり。
「自分たちが勝手をおかして開き直る。挙げ句黙りか。子どもと同じだな」
鼻で笑う福士くんに、彼女たちの目が若干潤み始める。
あまり芳しくないこの状況を、あっさり覆す救世主が現れた。