『The story of……』

遠野さんが言葉を続けるより早く、勢い良く扉が開くと同時に、



「なんで居るんだよっ!」



顔をひきつらせた聡利くんが、ズンズンとこちらに歩み寄って来る。



(いつもと反対だ……)



普段はお姉さんたちを見かけただけで、顔をひきつらせて後退りする聡利くんが、自らお姉さんたちに近付いて行くなんて珍しい。



「あら? 聡利がちゃんと言えないみたいだからお姉ちゃんたちが代わりに」



「要らないっ。帰れっ」



「そんな言い方してたら上総さんにアンタの恥ずかしい話洗いざらい話すわよっ」



相変わらずにっこり微笑むお姉さんの隣で、仁王立ちする遠野さんに聡利くんは眉間にシワを寄せて口を噤んでいた。



(……やっぱり強いな。お姉さんたち)



結局、明日妹さんを含めた三人分の買い物に付き合うってことで、お姉さんたちは帰って行った。




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