『The story of……』
「今日はちょっと強気だったね」
二人が帰った後、わたしは本題である約束の為に椅子に腰を下ろした。
「……危うく言われてしまうところだったんで」
わたしの髪に優しい手つきで触れていく聡利くんが、こう言って深い溜め息を零す。
今日の約束。
いつか言っていたように、聡利くんに髪の毛をセットしてもらうのだ。
丁寧に髪を束ねていく感触に委ねながら、
「恥ずかしい話?」
帰り際に遠野さんが言っていた話を蒸し返してみる。
「そんなんじゃないですけど……」
否定はしたもののどこか歯切れの悪い聡利くんに、
「じゃあ何の話?」
彼の手元を邪魔しない程度に、視線をちょっと上に向ける。
上目に窺った聡利くんと視線が合い、
「……ズルい顔」
「えっ……っ!」
軽い溜め息を零した唇が、わたしの額にチュッと触れた。
「愛都先輩」
「は、はいっ」
まだ微かに聡利くんの唇の感触が残る額に、頬は真っ赤に染まる。
優しい声色に恥ずかしさで潤む視線を合わせれば、