『The story of……』

さっきからずっと変わらないポーカーフェイスが、ゆっくりとわたしを捉えた。




(緊張する……)



同級生なのにやたら威圧感があって、お世辞にも近寄り易い人ではない。



けど、



「わたしじゃダメかな?」



一人で全部なんて……大変そうだし。

そんなことを思いながら、わたしは福士くんの返事をじっと待っていた。



「無理言ってこんな時期に入って貰ったんだ。それに……テストも近い」



(……だから他の人にも頼まなかったんだ)



三年生は受験生だし、一年生は初めてのテスト。
そんな人たちに頼むわけにもいかない。



かと言って残りの二年生は、十二谷くんと新入りのわたしだけ。
二年生だからってテストが大事じゃないわけじゃない。



でも、



「それは福士くんだって一緒だよ」



「…………」



「委員長だけど、福士くんだって中間テストあるのは同じでしょ?」



委員長だからって自分のテストを差し置いて仕事をするのはおかしい。



変わらないポーカーフェイスはわたしから視線を逸らし、小さく息をついた。
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