『The story of……』

「……凝った文章は考えなくて良い。一年生の気持ちを配慮して分かり易くしてくれ」



手元の紙を手に取り、淡々とした口調で差し出したかと思えば、



「よろしく頼むな」



「うんっ。がんばりますっ」



眼鏡の奥の瞳が微かに和らいだ。

それが嬉しくて、つい声を張って大きく頷いてしまう。




そんなわたしをもう一度だけ柔らかく見つめて、福士くんは会議室を後にした。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


任せられたからにはきちんとやりたい。

ましてや、自分から申し出たワケだし。



それに、


(福士くんに認めて欲しいもん)



福士くんに認められて、福士くんのお手伝いが出来るようになりたい。



その思いは文章を考えていくうちに、日に日に強まっている気がした。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


初めての委員会から三日。



誰も居なくなった放課後の教室に残り、わたしはアンケートの原稿作成に取りかかっていた。



授業を終えた後にも関わらず集中力は途切れず、一心にペンを走らせていた時、



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