『The story of……』
「……凝った文章は考えなくて良い。一年生の気持ちを配慮して分かり易くしてくれ」
手元の紙を手に取り、淡々とした口調で差し出したかと思えば、
「よろしく頼むな」
「うんっ。がんばりますっ」
眼鏡の奥の瞳が微かに和らいだ。
それが嬉しくて、つい声を張って大きく頷いてしまう。
そんなわたしをもう一度だけ柔らかく見つめて、福士くんは会議室を後にした。
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任せられたからにはきちんとやりたい。
ましてや、自分から申し出たワケだし。
それに、
(福士くんに認めて欲しいもん)
福士くんに認められて、福士くんのお手伝いが出来るようになりたい。
その思いは文章を考えていくうちに、日に日に強まっている気がした。
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初めての委員会から三日。
誰も居なくなった放課後の教室に残り、わたしはアンケートの原稿作成に取りかかっていた。
授業を終えた後にも関わらず集中力は途切れず、一心にペンを走らせていた時、