『The story of……』
(なんか空回りしてるな……わたし)
残りは三分の一。
絶対に明日に間に合わせなくてはいけない。
(自分でやるって言ったんだもん。がんばらなきゃ)
そう思い、机の上のペンを握り直した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ごめんなさいっ」
土曜日の午前中。
風紀会議室には、わたしの震える声しか聞こえない。
原因は、期限までに原稿が仕上がらなかったこと。
昨日、夜中までかけて書いていた原稿の途中で眠ってしまったのだ……。
手のひらを握り締め、深く頭を下げた先には小刻みに震える自分の膝が見えるだけ。
「仕方無いって、テスト前なんだし」
「そうですよ」
背中越しに聞こえる三年生と一年生の声が、弱った心に響いてくる。
「じゃあ、原稿の続きと印刷に分かれて残りの作業をしてしまおう」
十二谷くんの提案に賛同してくれるみんなの声に、内心すごく安心していた。
しかし、
「ダメだ」
ずっと何も言わずに座っていた福士くんが立ち上がり、冷たい瞳でわたしを見下ろしている。