『The story of……』
一人で手伝いたいって意気込んで、結局迷惑を掛けて……。
(情けないよ……)
空回りだらけの自分に嫌気がさす。
ペンを握り締めた手に力が入り、必死に潤む涙腺を堪えた。
「出来たのか?」
入り口から不意に聞こえた声で顔を上げれば、
「……あと少し」
出来上がった原稿を取りにやってきた福士くんが、ゆっくりとこちらに近付いてくる。
「上総」
「はい」
わたしの隣に座り、じっと正面からこちらを見つめている。
「他人は結果でしか判断してくれない」
「…………」
真っ直ぐに見つめられる瞳はわたしだけを捉えてて、眼鏡の奥の厳しい視線を必死に受け止めた。
「毎日上総が放課後までがんばってたこと、知らない人間には通じない」
「…………」
福士くんの言葉が胸をギュッと締め付けていく。
(そうだよね……結果、迷惑かけたんだもん)
「そんな上総の努力も知らずに、締め切りに間に合わなかったっていう評価だけが付く……悔しいだろ? そんなの」
「福士くん……」