『The story of……』

ふっと眼鏡の奥の顔が柔らかくなり、綺麗に畳まれたハンカチが差し出され、




「気付いてやれなくて悪かった」



優しい言葉を皮切りに、涙腺からは一気に涙が溢れ出した。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


なんとか原稿も書き上げ、必要数のアンケートを用意することが出来た。



「ありがとうございましたっ」



委員みんなに、わたしはひたすらお礼を告げていた。



「にしても、相変わらず委員長は厳しいなぁ」



三年生の先輩が冗談混じりに言った言葉に、みんな小さく笑ってる。



(確かに厳しいとこもあるけど……)



「元はわたしが悪いんだし、それに」



福士くんは何度も励ましてくれた。

厳しいだけじゃなくて、優しさだって同じくらい持ってる人だもん。




「えらく瑠戌の肩を持つんだね、上総さん」



「えっ、別にそんな」



慌てて否定したのが余計にしどろもどろになって、十二谷くんはクスクスと楽しそうに笑ってる。



(食えない笑顔だ……)



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