『The story of……』
~エピローグ~



諫音くんの提案で、わたしたちは映画デートのやり直しをすることにした。




「ごめん。一番後ろの端っこの席で」


「ううん。そんなの全然気にしてないよ」


笑顔で否定してみせるわたしに、諫音くんはどこか腑に落ちない様子。


(初デートだからって張り切ってたからなぁ……)


きっと、良い席とか用意しておきたかったんだと思う。



「場所なんかより、一緒に観る相手が重要だもんっ」


「えっ」


(この前、一緒に観られなくてガッカリしたもんね……)



二塚くんがどうってことじゃないけど、あの時は諫音くんと観られることを楽しみにしていたから……。



「諫音くんと観られるならどこでも良いよ。……一緒に観られるの、楽しみにしてたから」



わたしの言葉と同時に照明が落ち、上映開始のアナウンスが流れた。
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