『The story of……』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから数日。
わたしは昼休みの校舎裏を、ぼんやりと空を見上げながら通りかかっていた。
教室で会う寅毅くんはやっぱり今まで通りで、わたしもあの時の彼の表情のことを忘れかけていた時……、
「思わせぶりな態度取った癖に……最低っ」
パチンッという乾いた音の後に、泣きながら小走りに立ち去って行く女の子の姿が見えた。
(……別れ話かな)
何となく通りにくい雰囲気を残したその場所には、
(あっ……)
壁にもたれてしゃがみ込む、寅毅くんがいた。
「……これ」
スカートのポケットから取り出したハンカチを濡らし、しゃがみ込む寅毅くんに差し出した。
寅毅くんは一瞬、驚いたように目を見開いた後、
「……見てたん?」
気まずそうに苦笑いを浮かべ、ハンカチを赤くなった頬に当てた。
「偶然、見かけちゃって……ごめんね」
「いや……ありがとうな」
頬にハンカチをあてがいながら浮かべた笑顔は、力無く微笑んでいた。
それを正面から窺うわたしとの間に、沈黙が流れる。
それから数日。
わたしは昼休みの校舎裏を、ぼんやりと空を見上げながら通りかかっていた。
教室で会う寅毅くんはやっぱり今まで通りで、わたしもあの時の彼の表情のことを忘れかけていた時……、
「思わせぶりな態度取った癖に……最低っ」
パチンッという乾いた音の後に、泣きながら小走りに立ち去って行く女の子の姿が見えた。
(……別れ話かな)
何となく通りにくい雰囲気を残したその場所には、
(あっ……)
壁にもたれてしゃがみ込む、寅毅くんがいた。
「……これ」
スカートのポケットから取り出したハンカチを濡らし、しゃがみ込む寅毅くんに差し出した。
寅毅くんは一瞬、驚いたように目を見開いた後、
「……見てたん?」
気まずそうに苦笑いを浮かべ、ハンカチを赤くなった頬に当てた。
「偶然、見かけちゃって……ごめんね」
「いや……ありがとうな」
頬にハンカチをあてがいながら浮かべた笑顔は、力無く微笑んでいた。
それを正面から窺うわたしとの間に、沈黙が流れる。