『The story of……』
突然話し掛けたわたしが余程不可解だったのか、


「何か用?」


四谷くんは少し顔をしかめて、わたしにこう尋ねた。


(下手に回りくどい言い方するより、ちゃんと聞いた方が良いよね)


「うん……四谷くん、なんで学校に来ないの?」


単刀直入に切り出したわたしに、四谷くんは眉を寄せた険しい表情を見せた。



「……上総には関係無いだろ」


「そうだけど……悪い噂が立ってるワケだし……」



四谷くんの目つきが鋭くなり、その瞳に睨まれたわたしは、ぎゅっと唇を結んだ。


「放っとけば良いだろっ」


「でもっ」


「嫌ならおまえも、俺に関わるなっ」



強い口調でわたしを睨み、突き放した四谷くんはさっさと玄関の方へと引き返してしまった。



(四谷くん……)



わたしは……四谷くんを怒らせてしまったんだ。
四谷くんの領域に、無碍に入り込んで……。



泣きそうになった自分の顔が、窓ガラスに映っている。


(はぁ……何やってんだろ)



ため息を一つ零し、教室へと足を向けた時だった。


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