『The story of……』
不満そうにわたしを見上げる四谷くんに、
「お兄ちゃんの彼女?」
背中に飛び付いた美卯ちゃんは、耳元で何度も何度も尋ねている。
「違う。……隣のよしみ」
こう言ってチラッとわたしに目をやる四谷くんの顔が優しい……。
「……怪しいなぁ~」
そのまま美卯ちゃんを抱え、ベッドに連れて行く。
四谷くんにじゃれついて声をあげる美卯ちゃんと、優しい表情の四谷くん。
(仲良いんだなぁ……四谷くんと美卯ちゃん)
最初は驚いたけど、四谷くんが自分からここに招き入れてくれたこと。
それが、わたしには嬉しかった。
帰り道。
「ごめん。付き合わせて」
並んで歩いてた四谷くんが、小さく呟いた。
それに応えるように、微笑んで首を振る。
そんなわたしに小さく笑い返した後、
「アイツ病気がちで……入院と退院を繰り返してばっかりなんだ」
四谷くんは自ら、自分の話をしてくれた。
「うち、父子家庭で……アイツに付いててやれる人間が俺しかいない」
「それで学校休んでたんだ……」