『The story of……』
四谷くんが噂通りの人じゃなかったことに、すごく安心した。

でも、それも束の間だった。



「……そんな事情があったのに、わたし……ごめんね?」



噂話に捕らわれて四谷くんに、無理に理由を聞こうとしたこと。


(わたし、失礼なことしちゃった)



ペコリと頭を下げたわたしに、



「助かってる……これ」



四谷くんがカバンの中から取り出したもの。

わたしがお節介で渡したコピーの束だった。



「寅毅のノートは……汚くて読めないから」



付箋やラインが引かれたそれは、わたしが渡したときの綺麗な面影は無い。



「使ってくれてるんだ……」


「……ありがとう」



こう言って笑う四谷くんに、胸の中がじんわり温かくなった。



(……役に立てて良かった)



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


あれから、四谷くんも少しずつ学校に来る日が増えてきた。



そんな中、三日間連続で学校に現れなかった四谷くんが気がかりで、わたしは病院へ向かった。



(美卯ちゃんの調子、悪いのかな……)
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