『The story of……』
お見舞いのお菓子と、三日分のコピー片手に向かった小児病棟の個室。
かすかに開いたドアからは、
「イヤッ!」
美卯ちゃんの大きな声が聞こえてきた。
そっと覗き込んだ中では、ベッドの上に座った美卯ちゃんと傍らに座る四谷くんがいた。
「退院なんてしたくないっ!」
「美卯……」
ベッドの上で泣き叫ぶ美卯ちゃんに、それを静かに見つめる四谷くん。
「学校なんて行きたくない! 行かないもんっ!」
そのまま掛け布団をすっぽり被り、
「出て行ってよっ!」
四谷くんを強く拒絶した。
その布団を軽く撫でた後、
「また、来るからな」
小さく囁いた四谷くんが、イスから立ち上がり入り口に向かう。
「上総っ」
「……四谷くん」
入り口を出たところで鉢合わせたわたしに、四谷くんは一瞬驚いた後、小さくため息を零した。
「美卯……入学式してからほとんど学校行ってないんだ」
「えっ……」
学年で言えば、美卯ちゃんは小学二年生。
でも、入退院を繰り返してほとんど通えなかったせいで……もう一度一年生をしなくてはいけないらしい。
かすかに開いたドアからは、
「イヤッ!」
美卯ちゃんの大きな声が聞こえてきた。
そっと覗き込んだ中では、ベッドの上に座った美卯ちゃんと傍らに座る四谷くんがいた。
「退院なんてしたくないっ!」
「美卯……」
ベッドの上で泣き叫ぶ美卯ちゃんに、それを静かに見つめる四谷くん。
「学校なんて行きたくない! 行かないもんっ!」
そのまま掛け布団をすっぽり被り、
「出て行ってよっ!」
四谷くんを強く拒絶した。
その布団を軽く撫でた後、
「また、来るからな」
小さく囁いた四谷くんが、イスから立ち上がり入り口に向かう。
「上総っ」
「……四谷くん」
入り口を出たところで鉢合わせたわたしに、四谷くんは一瞬驚いた後、小さくため息を零した。
「美卯……入学式してからほとんど学校行ってないんだ」
「えっ……」
学年で言えば、美卯ちゃんは小学二年生。
でも、入退院を繰り返してほとんど通えなかったせいで……もう一度一年生をしなくてはいけないらしい。