『The story of……』
~エピローグ~



あれから程なくして退院した美卯ちゃんは、たくさんのウサギと一緒に頑張って小学校に通い始めていた。



それを境に、休みがちだった四谷くんも毎日学校に来るようになっていた。




「あれ? またバンドエイド?」


すっかり治ったはずの指先が、またバンドエイドだらけになっている。


「美卯ちゃんに新しいの作ってって、お願いされたんでしょ?」


(ホント優しいお兄ちゃんだよねぇ……)



こう言って、四谷くんのバンドエイドだらけの指先を見つめていたわたしに、



「……ほらっ」


「えっ? ……あっ」



手渡してきたのは、見覚えのあるウサギの中マスコット。
そして、それと手を繋いだ女の子ウサギのマスコット。



「美卯のことで、上総には世話になったから……何かお返ししようと思ったけど思いつかなかった」



わたしの手の中で、仲良く並んでいるウサギたち。

誰も、四谷くんが作ったなんて思わないんだろな。



「ふふっ。嬉しいよっ」



(寅毅くん辺りが知ったら……笑うんだろうな。きっと)
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