こころ、ここにあり。
prologue
右往左往へ舞う桜、一体何処へ旅立つつもりなのだろうか。

雲ひとつ見当たらない空、キャンパスに描いたんじゃないかと思わされる。

こんな美しい風景を見たのは何年ぶりだろうか。

あの日のことが思い出される。

「ッ...」

『春』それは出会いの季節でもあり、別れの季節でもある。

そんな『春』が僕はとても嫌いで、とても有難く思っている。

「先生」

桜の下で拝み、涙を流すような異様な行動をする馬鹿は僕以外にはいないだろう。

蘇ってくる高校時代の記憶。

その記憶の中には貴方が大半を埋めており、責任とってほしいぐらい。

しかし、記憶の中でしか会えないのがとても悲しい。

春の空気を肺に入れ込み、再び空を見上げた。

これは数年前、僕らに奇跡を起こしてくれた先生との物語だ。
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