5人の王子とお姫様!



だけどやっぱり無慈悲な聖、お皿を遠ざけて一言。



「ダメです」


ひどい。


かわいそう、空。……かわいそう。



「聖のばか」


「ん?何か聞こえた気がしたな。最近耳の調子がおかしくてね、もう一度お願いできるかな、天音ちゃん」



にっこり、満面の爽やか笑顔に身が震えた。


声、出てた……。



「な、何も……ない…」


ぶるぶるぶる、と問いかけに対して大きく首を振って数歩下がる。



聖、怖い。無理。勝てない。


ごめんね、空。



トン、とそこで誰かにぶつかって、なんだかよく分からないけど、ビクリと肩が揺れる。


慌てて謝ろうと振り返った瞬間。



「天音かわいー!」


ぎゅうぎゅうと、いつかの締め付けにあった。



……困った、どうしよう。




両脇からがっちりホールド=逃げ道なし。


もがいてみる=力の差に敗れる。


強行突破=無理、絶対。


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