5人の王子とお姫様!
楓斗にちょっとだけ元気をもらった。
というわけで、私は今、とある扉の前に立っている。
…もとい、扉の前でうろうろしている。
まとまった言葉が思いついたわけじゃない。
だけど、不安が募ってじっとしていられなかった。
まずは、大前提で「ごめんなさい」かな。
ありきたり過ぎて、誠意が伝わらないかもしれない。
もっと、何か。
うまい言葉が言えれば良いのに。
はあ、とため息をつく。
ガチャリ、音がして何気なく視線を向ける。
「……」
「……」
普通に考えれば扉の開閉音だって分かるのに、そこまで頭が回らなかった。
結果。
「……」
「……」
無言。無言。
ひたすら無言——
「あ、天音!?」
……あっけなく破られた。
そうだ、思い出した。
数秒と黙っていられるなら、いつもあんなにうるさくない…。