5人の王子とお姫様!
chapter*3
体育祭で勝負です
***
琉羽と光邦と無事仲直りして、何事もなく日が経った。
そんな、6月に入ったある日のこと。
「………」
まただ、と下駄箱を覗いて思った。
上履きの上には、封が閉じられた真っ白な手紙。
ここ最近、毎日のように届くようになった。
『柳瀬天音様へ』と小さな字で書かれている以外、何もない。
差出人の名前はなくて、学年も、教師か生徒かも分からない。
どこの誰から来たのかさっぱりだ。
そんな謎の手紙を片手にぼんやりと考えていると、遅れてやって来た聖が声をかけてきた。
「あれ、天音ちゃん。どうしたの?」
「何が?」
「今日は早く出て行ったから、まだここにいるのが気になっただけだよ」
「ふうん…」
そうなのか、と聖から視線を外して手紙に戻る。
「あれ、天音ちゃんが手に持っているそれは?」
「手紙」
「…あ、はは。そうだね、手紙だね」