5人の王子とお姫様!
後ろから声を掛けると、ルン♪と付属しそうな声を弾ませて、手にしていたカップを受け皿に置いた。
いつになく神妙な顔つきになったから、一体何だと、向かいのソファーに座って珍しく私も真面目に聞く体制に入る。
「実はね……」
「うん」
ごくっと喉を鳴らすと、目の前の人物はニッコリと笑みをたたえて言った。
「転校してもらいます♪」
「……え」
あくまで上品に、けど子供みたいにアハハと笑うお母さん。
……うん、転校。
転校、か……
転校したら学校が変わる。
学校が変われば環境も変わる。
環境が変わったら、ええっと……どうなるんだろう。
どうでもいいことを考え出した私を見越してか、「天音?」と威圧的なお母さんの声がかかる。
……どうやら、理由は聞いておいた方がいいらしい。