5人の王子とお姫様!



冗談交じりに言った光邦に、琉羽は黒い笑顔で応じる。


呆れた顔で琉羽に突っ込みを入れた楓斗はこっちを見て、思いついたように不平を述べた。



「つか、何すんだよお前」


言いながらも、口端についた衣のカスを指先で拭って余さず口へと運んでいて、満更でもなさそう。



一連の仕草を見た周囲から小さく悲鳴が漏れたけど、本人は慣れたもので気にしてない。


流石、モテる人は違う。



「…あげてみたく、なったから?」


「はあ?」


悩みながらの答えは疑問形で、対する楓斗にはどうやら説得力は皆無らしい。



思いっきり不審な人を見る目だ、楓斗。


挙句睨まれて、さっと目を逸らして逃げる。


だって……どうしてそうしたのか、分からないんだもん。



楓斗を納得させられる答えは見つけられなくて、私は無言の批難をさりげなくスルーすることにした。


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