5人の王子とお姫様!
嫌いじゃないよ
**
午後の競技も残りわずかになった頃。
グラウンドを離れてトイレに立ち寄ったものの……
さて、面倒なことになった。
「ちょっと、あんた」
外に出ると、3人の女子が待ち構えていた。
歳も近そうだし、今日の体育祭に外部から来た人なのは間違いない。
「……なんですか?」
ピリピリした雰囲気は、どうも穏やかな感じじゃなくて。
こういう時は、警戒したほうが身のためだ。
「何ですか、じゃないわよ!」
キツい物言い。
甲高い声が耳にキィンと響いて、思わず顔をしかめる。
呑気に雑談……っていうわけじゃなさそう。
見ず知らずの人に恨みを買った覚えはないし、知らないうちに何かしてしまったのかもしれない。
……何、したんだろう。
視線を外して、校舎の白い壁に目をやりながら考える。