5人の王子とお姫様!



じーっと見つめる私の視線に気付いた聖は苦笑して言う。


「先生に頼まれたんだ」



さすが、優等生の鏡。



予見して面倒ごとを回避するのは得意なのに、思わぬところで背負わされるのは厚い人望か、柔和な物腰のせいか。


あるいは天性のものなのかもしれない。


生粋の苦労人だ…。


心底聖を哀れだと思った。




「くー、良かったねぇ。景品に釣られて頑張ってたもんね!」


なるほど、それで今日の空はやる気を出していたのか。


熱意の理由を知って、ちらりと視線を向けると、当人は大きな欠伸を一つこぼしていた。



「眠い?」


「ん。少しだけ…」


「でも、これから焼肉だよ」


「っ!……ん、起きてる」



はっとした空。


顔をブンブン振って眠気を振り払う姿はすごく和む。



「髪、乱れてる」


言いながら、ぼさぼさになった空の髪を整えてあげる。


< 237 / 474 >

この作品をシェア

pagetop