5人の王子とお姫様!



外に出ると、中との温度差に体が震えた。


むわっと暑い店内とは一変、ひんやりとした夜風が頬をさする。



んー、と大きく伸びをしてから、一気に体の力が抜ける。


……何か、疲れた。


今日はいろいろあったな…。


ほとんど寝てたけど。



植木を囲う近くの囲いに腰掛けると、自然と体が丸まる。



集団の中にいて、無意識に体に力が入っていたんだと今更ながらに気付いた。



静かな夜。


人の気配が全くしない。


ここ最近ずっと人の中に揉まれていたから、一人でいるこの時間が久しぶりに感じて。


それがなんだか不思議で、ちょっと落ち着く。



だけど。



「……」


中に戻ればまた元どおり絡まれるのに。


なんでだろう。



ちょっと席を外して、一人になりたくて外に出たのに。


ほんの一瞬一人になっただけなのに。


それなのに、もうここには自分以外誰もいないんじゃないかという錯覚に陥る。


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