5人の王子とお姫様!
chapter*4
夏と海と妖しさ少し
***
それは、体育祭が終わってしばらく経ったある日のこと。
……うっとうしい。
さっきから何度そう思ったか知れない。
開け放たれた窓から入り込む生暖かい風も。
妙に耳障りなセミの鳴き声も。
そして……
「……暑い…」
「溶けちゃうよーっ」
左右からしなだれかかってくる2つの物体も。
みんな鬱陶しくて仕方ない。
体育祭から数週間が過ぎて、7月。
東明学園もいつの間にか夏休みに突入していた。
いろんな意味で今年の夏は暑い。
元々こんな感じの空はともかくとして、最近では琉羽まで距離が近いと思う。
多分、体育祭の日からだ。
あの日の宣言からだと思えば、琉羽がここまで粘着質になった理由というか、きっかけを作ったのは間違いなく私で。
こんなことになるなら、あの時一人にならなければよかった。
今ほどそれを後悔したことはなくて。