5人の王子とお姫様!
「どいて…」
弱々しく両手をブンと振って押しのけるけど。
「やぁーだっ」
腕にしがみつく琉羽は離してくれない。
より密着されて、そこが急速に汗ばんでいくのが分かる。
「って琉羽。単に天音に引っ付きたいだけやろ」
暑いのにようやるわぁ、なんて言う光邦の言葉には覇気がない。
……ああ、どうして。
なんで今日に限って、寮の空調設備が悪いんだろう。
自室のクーラーも使えなくて、日当たり抜群の灼熱地獄から解放されるためにここに来たのに。
同じ考えだったのか、人が集まったリビングでは常に熱が集中していた。
既に室内だけで気温は30度を超える。
とても耐えられない。
ついに、ぐでっと溶けるように体中の力が抜けたところで。
「アイスがあるけど食べる人はいる?」
こんな日でも汗ひとつ見せない、涼しげな聖の言葉は神様かと思った。