5人の王子とお姫様!
「これ天音のとちゃうんか?」
光邦の言葉に目を向けると、テーブルに置かれた、薄ピンクの点滅する携帯が目に入る。
……あ、私のか。
周りはみんなスマホだし、頻繁に連絡を取り合う人もいないから私のだと一瞬気付かなかった。
「ガラケーなんて珍しいね」とか言われるけど、多機能でも困るだけだし私にはこれでちょうどいいと思ってる。
相手が誰かも確認しないまま耳に当てる。
その直後、自分の安易な行動を後悔した。
電話口から聞こえてきたのは、信じられないくらいの大音声。
『あーまねぇー!元気にしてる?お母さんよー♪』
陽気な母の第一声に、思いっきり顔をしかめて携帯を耳から30センチは離す。
一瞬、携帯の音量が最大になってるのかと思ったけど、単にお母さんの声が異常なだけだった。
これだけ離してもまだ聞こえてくる声は、前に座る光邦を唖然とさせている。
「……マヌケ顔」
私の呟きに、慌てて口を閉じる光邦の姿を横目に、ケータイを耳に当て直して電話の主に言葉を返す。