5人の王子とお姫様!
悪夢は突然やってきます
琉羽がいなくなってから、危なかった……と、ほっと安堵の息を溢す。
言えるわけない。
このパーカーの中は水着も水着、だけど……
どうも着慣れないビキニなのだから。
これも母の策略か、バッグに忍んで入っていた。
着なくても良かったけど、お母さんのあの目、怖いし。
笑ってるのにどこか身震いさせる表情を思い出して、夏にもかかわらず悪寒が走る。
ぎゅっと両腕で体を抱きしめるようにしてパーカーを掴んでいると、目の前に影ができた。
「姉さん」
「…あ、昴」
顔を上げると、半袖パーカーのポケットに手を突っ込んだ昴が立っていた。
深く被ったキャップからピョンと跳ねる、色素の薄い髪。
パーカーに加えて、ハーフパンツとの組み合わせが容姿と比例して幼く見えた。
え、天使…?
やっぱり私の弟は世界一可愛い。