5人の王子とお姫様!
空は、いい子だから。
……許す。
分かりやすく機嫌が良くなった私は、後ろに置かれた袋からたこ焼きのパックを出して渡す。
大きく口を開けて一個まるごと頬張る空から目を離して、周りを見回してみる。
他のみんなは、どこだろう。
そんな私の思考を読み取った光邦が、いじけた顔で海のほうを指差した。
まだバリケードを張ったことを引きずってる。
「聖たちならあっちや」
見れば、砂浜に妙な人だかりが出来ていた。
人だかりの中心には、女性に囲まれる哀れな3人の姿が伺えた。
……あ、楓斗、怒ってる…。
不機嫌そうな楓斗の姿を真っ先に見つけて、どうしようかと思案する。
他の二人も例外じゃない。
琉羽は、輝かんばかりの笑顔の裏に黒いオーラが感じられるし。
聖に至っては、困ったように笑いながら時折、助けを求めるように視線を彷徨わせている。