5人の王子とお姫様!
わずか数メートル先にいるこの2人を、私は知っていた。
決して彼女たちに良い印象はない。
できることなら関わらず、知らないままでいれたらどんなに良かったか。
幸いか、あの2人はまだこっちに気付いてない。
昴が小さく震えているのが、握られた指先の微かな振動から伝わってきた。
……ああ、そうだったんだ。
昴はこれを、私に見せたくなかったのだ。
無理もなかった。
私があの人たちに怯えて強がって、ビクビクしていたあの頃。
まだ中学に上がったばかりだった昴にも、大きな恐怖を与えてしまったんだから。
きっとそれは、深い傷になって昴を苛んでいる。
昴が今も、何もできない自分の無力さを悔やんでいると、私は痛いほど知っている。
だからこそ、自分なりに私を守ろうとしてくれたのかもしれない。
もちろん私は、昴が何もできなかったとは思ってないけど、本人は絶対にそれを良しとしないのだ。