5人の王子とお姫様!
もう、楓斗に嫌われてないことは分かってる。
だからこそ生まれた、それは慢心なのかもしれない。
単純に鬱陶しがられているだけかもしれないけど。
ただ少し、欲張りになってしまった。
「それ、やだ」
「……は?」
「"お前"っていうの、やだ」
まともに名前を呼ばれたことがないことにムッとしながら、暗に言う。
名前で、呼んでほしいと。
うっ、と言葉に詰まる楓斗。
頭をガシガシ掻いて、顔を逸らされた。
じー…っとしばらく見つめてみるけど、今度こそ楓斗は後ろを向いてしまった。
……ちょっと、困ってる。
いきなり過ぎたか、と反省して楓斗の隣に立つ。
無理強いするのも良くないけど、そろそろ私に慣れてくれてもいいと思う。
私が思う以上に、楓斗の女嫌いは根深いらしい。
少しは仲良くなれたと思ったんだけどな…。
昨日の今日だからそう思うだけかもしれない。